VTuberを武道館でライブさせる!?
その名は「V-1グランプリ」。VTuber全体を巻き込んだグランプリイベントです。VTuberの皆様を全国ツアー、ひいては武道館へと連れて行くことを目標にしています。
という謳い文句で2月末に公開されたクラウドファンディングなのですが、「胡散臭い」「リターンに魅力がない」などといわれ相手にされず1月が経とうとしています。さすがにこの状況はまずいと思ったのか、3月23日YouTubeLiveでイベントの説明会を行うと発表。
今回はなぜこのような状況になっているのか考えます。
こんにちは。バーチャルYouTuber追っかけおじさんのTnOkinaです。
以前クラウドファンディングのメリット・デメリットについて記事を書かせていただきました。
クラウドファンディングの難しさを感じた案件なので紹介します。
クラウドファンディング概要
V-1グランプリProjectはVTuberを日本の文化として定着させる為のProject。
最終的な目標は「VTuberの武道館ライブイベント開催」。そのための目標金額は50000000(5千万)円。このクラウドファンディングはAll-In方式のため、目標金額に届かなくても資金がファンディングされる。また、金額ごとにストレッチゴールが設定されている。クラウドファンディングで頂いた資金はライブイベントに係る費用やCDやDVDなどグッズ制作費用、イベント運営管理に充てる予定。
ライブイベントの内容
グランプリ授賞式
VTuber×ボカロP新曲お披露目
ゲーム実況ライブ
歌唱大会
などなど
支援者が集まらないわけ
さて2月26日に公開されたこのクラウドファンディングの支援者ですが、この記事を書いている3月23日現在:パトロン13名、金額92500円となっています。ひと月近く経って目標金額の0.2%に満たないという状況。
この状況の原因を考えます。
合同会社リンクネクストなんて知らない
会社ホームページやWANTEDLYで分かる情報は、「インターネットを通じてWebメディアの制作・運営やイベント事業を営む会社」であるということくらい。どこを探しても実績がわからない。
実現性の欠如
実績が見れないので、何がこの会社にできるのか分からない、地方ライブ成功ですら確信が持てない。そもそもこの会社はVTuberを運営しているわけではないし、VTuber紹介メディアを運営しているわけでもないため、VTuberのためのイベントに心血を注ぐとは考えにくい。
VTuberのイベントなのだが、出演者が決まらない
VTuberであれば無条件で好きという人は少数で、大抵推しのVTuberというのがいます。
VTuberのイベントで人を集める際に最も重要なのは、出演VTuberが誰であるかです。イベントの内容はもちろん重要な要素ですが、推しが出演するかどうかが一番の大事です。ですが、グランプリという形式上、推しが出演できるかどうかがわかりません。
リターンがおいしくない
リターンが支援をして手に入れたいほどのものではない。
メインは限定ジャケットのCD&DVDやライブチケットなど。しかし、出演者が不明なライブのチケットやCDメディアが欲しいって人はいないでしょう。
限定ジャケットのCD&DVDとなっているが、シークレットトラックや限定映像などがついていると書かれていないので魅力に欠ける。
初動でVTuber側に警戒心を与えてしまった
出演VTuberを募るために企業VTuberや個人VTuberに勧誘メールを一斉送信。一斉送信の結果、送ったVTuberに他のVTuberのメールアドレスを漏洩。この不手際に対してアマゾンギフト券を送り謝罪した。
リンクネクストの運営に警戒心を持った者が「物申す系VTuber」にメール内容をリークした。それが動画にされ、界隈に広がった。
V-1グランプリに出るメリット
- 知名度アップに貢献
- イベントブースでボイス販売可能
- ブース出展料なし
- 参加費無料
- 手間なし
- ボカロPとのコラボに選ばれた場合の諸経費負担なし
だとしている。
V-1グランプリというオンラインプロモーションの場の無料提供。ボカロP賞受賞の際の諸経費免除。などのメリットが謳われており、それ自体は確かにVTuberにとってメリットである。しかし、VTuberファン側の意識として、イベントの主役はVTuberであるなら出演者として扱うべきだろうという意識があるためか「出展させてあげるから、タダ働きして盛り上げてよ」と言われたように映ってしまったようだ。
動画説明会
3月23日のYouTubeLiveにて企画説明を行った。
その中で、イベントコンセプトやイベント概要について説明が行われた。グランプリの投票方法はサイト投票とボイス販売投票となり、ボイスの売り上げの66.4%がVTuber本人に還元される。
グランプリファイナル進出者の中から、一番人気にグランドスター大賞。ボカロPに指名されたVTuberにはボカロP賞が贈られる。
また、目標金額に達しなかった場合に行うイベントについて説明された。
オンラインイベント「V-1グランプリ」自体は目標金額に関わらず開催される。また、オフラインイベントの授賞式も開催する。
ライブの開催についてはストレッチゴールに則り開催される。先行ミニライブについては必ず実施するとのこと。
まとめ
今までの経緯や動画説明会を聞いてみて感じたことは、順序が悪いと感じました。V-1グランプリが金額に関わらず開催されるならそれを先に言わなきゃいけないでしょう(支援者の集まりが悪く、方針転換したのかもしれませんが…)。クラウドファンディングサイトではグランプリに関するの説明が少なく、ライブに関しての話ばかりなのでVTuberを使って儲けたいように映ってしまっている。
V-1グランプリ自体の説明を受けた感じでは悪い印象は持ちませんでした。
「V-1グランプリを開催しようと思います」→「動画説明会」→「クラウドファンディングでライブ資金集めます」という流れならここまで忌避される状況になっていなかったのではないかなと感じます。